フェムテックの市場規模について

フェムテックは、Female(女性)とTechnology(技術)を組み合わせて作られた言葉です。
女性の健康を改善させるためのテクノロジーを活用したソフトウェアや製品、診断、サービスなどを指す言葉として使われています。
人工知能やチャットボット、IoT、ウェアラブルデバイスなどを駆使し、ヘルスケアと動機付けするといった意味も含まれています。
日本国内でもフェムテックの市場規模は拡大傾向にあり、参入している企業も増えているのです。
今回は、そんなフェムテックの市場規模について詳しく解説していきます。

フェムテックの市場規模はどのくらい?

フェムテックの市場規模

フェムテックの市場規模は、世界的に見ると2025年で5兆円以上に成長すると見込まれています。
これは、アメリカのコンサルティングファームのフロスト&サリバンの調査結果による見込みです。
また、この調査ではフェムテックの投資額についても言及しています。
2017年の段階でデジタルヘルスへの投資件数は227件となっていて、115億ドルに到達しています。
パーソナライズされたウェルネスに関しては、投資分野の中でトップ5に入っています。
その中でフェムテックは、2014年以降で10億ドル以上の資金を集めているのです。
2020年の日本国内における全スタートアップの資金調達額の合計がおよそ5,000億円となっていることからも、世界的に見てフェムテックが活況を迎えていることがわかります。

日本国内におけるフェムテックの市場規模は矢野経済研究所の調査によると、2020年でおよそ597億円となっています。
現在も成長を続けている分野なので、さらなる市場規模の拡大は大いに期待できます。

参照:
https://www.frost.com/files/1015/2043/3691/Frost__Sullivan_Femtech.pdf?utm_source=Triggermail&utm_medium=email&utm_campaign=Post%20Blast%20%28bii-digital-health%29:%20Paltry%20evidence%20won%27t%20tame%20%27femtech%27%20boom%20%7C%20Surescripts%20cuts%20out%20PillPack%2C%20spurs%20legal%20clash%20%7C%20UnitedHealth%20earnings%20hint%20at%20growth%20strategy&utm_term=BII%20List%20Digital%20Health%20ALL
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP619917_Q1A021C2000000/

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フェムテックが注目されているのはなぜ?

フェムテックが注目されているのは、従来のヘルスケアとは違いがあるからです。
なぜフェムテックが注目されているのか、その理由に迫っていきましょう。

タブーとされてきた分野に正面から取り組んでいる

フェムテックは、今まで「汚い」「人に話すことではない」「はしたない」と思われていたことに真正面から取り組んでいます。
生理や性の話をもっとオープンにしても良い、といった問題提起もフェムテックの概念として捉えられるでしょう。

多様性に対する対応ができる

海外では、文化や人種、LGBTQ、貧困層など様々な立場の人に向けた商品やサービスの開発が進められています。
男女の性差はもちろんですが、それだけではない様々な違いが見えてくるものです。
男性向けの商品やサービス、女性向けの商品やサービスといった括りでは、対応できない事例も実際にあります。
そのような事例にも対応できるようにすることも、フェムテックの重要な役割だと考えられています。
なぜならフェムテックは健康格差をなくすことが大きな目的となっているためです。
基本的には女性向けの商品やサービスを提供するのがフェムテックですが、避妊や性感染症、妊活といった分野は男性にも深くかかわってきます。
フェムテック=女性の健康をサポートするものという単純なものではないことがわかるでしょう。

多様性

最新のテクノロジーを駆使している

フェムテックは、最新のテクノロジーを駆使した商品やサービスの開発・提供を行っている分野です。
最新のIT技術を活用し、女性が抱えている様々な課題を解決に導こうとしています。
ただし、フェムテックのテクノロジーはIT技術に限ったものではありません。
ピルなどの医薬品や月経カップ、生理用ショーツなどもフェムテックに含まれているのです。
従来は、「なるべく自然に任せて我慢するべきだ」と思われていたことにもテクノロジーが取り入れられるようになったのは、大きな変化だと言えるでしょう。

将来を見据えている

フェムテックの特徴は、将来を見据えていることも挙げられます。
政策としてもフェムテック振興が推し進められるようになってきました。
フェムテックで女性が抱えるヘルスケア問題が解決されれば、社会的にも良い変化が訪れると予想されています。

将来

フェムテックが注目されているのには、このような理由が挙げられます。
女性の社会進出が進む中で見えてきた問題はたくさんあるため、それらを解決へ導くためにも重要な役割を担っているのです。
だからこそ、市場規模も世界的に拡大しているのだと考えられるでしょう。

フェムテックによって解決へと導ける可能性がある課題とは?

フェムテック関連の商品やサービスを利用することにより、解決へ導ける可能性がある課題はいくつかあります。
最後に、その課題からいくつかピックアップしてご紹介しましょう。

生理に関する悩み

生理の周期を予測するアプリや快適性などを重視した生理用品が登場しています。
生理用品は、大手メーカーが続々と新しい商品の研究・開発を行っているのです。
中には、それぞれの生理周期や経血の量に合わせたアイテムを届けてくれるという嬉しいサービスもあります。

妊娠や出産、育児に関する悩み

最近は、基礎体温を記録することで排卵日を予測するアプリも出ているので、妊活のために使っている人も多いでしょう。
また、妊娠中のトラブルや体調管理ができるアプリなどもあります。
このように、妊活から出産まで女性のサポートをしてくれるツールが増えているため、嬉しいと感じる人も多いと考えられます。
妊娠や出産に関する悩みや不安を解消するためのツールは相談掲示板などです。
オンラインのツールを活用することにより、情報を共有できるようになります。
それだけではなく、お互いに支えあえるというメリットもあるので。魅力的だと感じる人は少なくありません。

排卵日を予測するアプリ

更年期や閉経後に関する悩み

女性の体の不調は、更年期から閉経後にも生まれます。
GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)は、代表的なものとして知られています。
GSMは、かつて老人性膣炎と呼ばれていました。
老化によって起こるものだから仕方ないと思われ続けていましたが、最近では効果が期待できるサプリや膣洗浄剤、尿漏れパッド、ショーツなどの製品が販売されています。
また、筋力をアップして尿漏れを防ぐためのトレーニングアイテムも出ているので、対策のために活用する人も増えているのです。
また、レーザーや超音波を使った治療機器の開発も進められているため、更年期以降のフェムテックも注目度が高まっています。

セクシャルウェルネス関連の悩み

セクシャルウェルネスとは、WHO(世界保健機関)によって定義されたものです。
「性に対して身体的、感情的、精神的、社会的に健康であること」という概念に基づいています。
心身共に性を楽しめるようにすることが目的となっています。
この分野における「セックストイ」が代表的なアイテムとして挙げられるでしょう。
日本では、セックストイというと男性向けのアイテムをイメージする人がまだまだ多いです。
しかし欧米では、男性だけではなく女性にもフィットするようなアイテムが増えつつあります。
今後は、日本でも女性向けセックストイが増えていき、性に関する悩みを改善できる可能性も大いにあるでしょう。

手をつなぐ男女

フェムテックによって解決へと導ける可能性がある課題は、このように多岐にわたります。
女性が抱えている悩みとはいっても、男性にも関係あるものも少なくありません。
だからこそ、男女とも課題に向き合えるようなアイテムを研究・開発していくことは重要だと言えます。
海外では日本よりもフェムテックに対する意識が高いので、その影響を受けて日本国内の市場規模も拡大していくことでしょう。

フェムテックの市場規模は、世界的に大きくなっています。
女性の社会進出やテクノロジーの進化などが大きな要因だと言えるでしょう。
しかしフェムテックには、テクノロジーを駆使したものだけではなく、生理用品なども含まれています。
そのため、女性がより快適に生活できるような日用品の開発もさらに進められていくと考えられます。
より良い商品やサービスが増えていく可能性が高いフェムテックの分野は、今後も注目していきましょう。

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