男性特有の健康問題を解決するための「メンテック」とは?

女性ならではの健康に関する悩みを解決する製品やサービスを指すフェムテックは、年々市場規模を拡大させています。
2022年には国内だけでも700億円を突破し、注目を集めていることがわかります。
そんな中、男性特有の健康問題の課題を解決するための「メンテック」への関心も広がりを見せています。
男性特有の健康問題をピックアップしながら、メンテックを理解していきましょう。

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男性版フェムテック「メンテック」とは?


メンテックとは、「Man(男性)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語 で、男性特有の健康に関する悩みや身体に関する悩みを解決するための製品やサービスを指します。
同じ意味として、「Male(男性)」と「Technology(テクノロジー)」を合わせたメイルテック と呼ばれるケースもあります。
フェムテックは世間でも広まりを見せていますが、メンテックに関しては「わからない」「詳しい内容は知らない」といった方もいるはずです。
メンテックが生まれた背景としては、男性特有の機能の衰えや健康の衰えを感じる人が増えているからだと考えられます。
女性だけではなく、男性にも人には言えない悩みは多いので、今後もフェムテックだけではなくメンテックに関する製品やサービスが冷えていくと予想できます。

男性特有の健康問題とは

メンテックとなる男性特有の健康問題には、どんな種類があるのでしょうか。
代表的な症状をご紹介していきます。

ED


EDは勃起不全とも呼ばれ、性行為をしようとしても十分な勃起が得られない場合や維持できない状態が続くさまを言います。
主な原因には、以下の項目が挙げられます。

・加齢
・糖尿病
・肥満
・高血圧
・喫煙

この他に、ストレスも原因の1つです。
性交がうまくいかなかったことによるプレッシャーをはじめ、仕事でのストレスもEDを引き起こす可能性があります。
治療法としては、原因となっている病気の改善やストレスの解消が当てはまります。
また、ED治療薬もあるので服用をして改善を目指す方法もあります。
しかし、どの方法も病院への受診が必要となるため、仕事で忙しい場合は通うことは難しいです。
EDともなれば、「受診をする勇気がない」「バレたら恥ずかしい」といった思いもあり、受診せずに放置をしてしまう男性も中にはいます。

男性不妊


子作りをするために性交渉をしても自然に授からない状態を不妊と言います。
不振症は女性に原因があると考える方もいますが、WHOの調べによる不妊原因の男女比は以下のとおりです。

・女性:35%
・男性:15%
・男女ともに:24%
・原因不明:11%

不妊カップル全体の48%で男性が関係している ことがわかっています。
男性不妊の原因としては、精子をつくる機能の低下(造成機能障害)や、勃起や射精ができない(性機能障害)、精子の通り道に詰まりがある(精路閉塞障害)などの3つに分類されます。
原因を調べるためには、精液検査や超音波検査、血液検査、性感染症検査などを実施する必要があるので、EDと同様に病院の受診が不可欠です。

薄毛


薄毛で悩む男性も多いです。
薄毛の原因としては、偏った食生活や生活習慣、睡眠不足やストレスなどがありますが、男性ホルモンや遺伝が要因となるAGA(男性型脱毛症)であるケースも高いです。
AGAは20代や30代といった若さの男性で発症し、年齢が上がるにつれて症状が進行していきます。
AGAを治療する方法としては、薬の服用です。
AGAの要因とされているジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの一種を阻害するために外用薬や内服薬を用います。
医師に相談し、処方が必要となるので病院への受診が必須ですが、やはり他の健康問題と同様に受診をして治療を考える男性は少ないです。

メンテックに関連する製品やサービスは増えつつある!


男性特有の健康問題に対処するためには専門的な知識を持つ病院を受診し、適切な治療を行うことが大切です。
しかし、長期間受診をし続けることが難しい、受診が恥ずかしい、人に知られたくない、といった理由から病院へ行かずに治療を断念する男性は一定数います。
こうした問題を解決するためにメンテックに関連する製品やサービスが近年増えてきています。

例えば、アメリカにある企業Legacyでは、精子の妊よう力を測定する検査キットを提供しています。
自宅で検査ができるだけではなく、医師とのオンライン診察も可能で、サプリメントの処方や精子の凍結保存といったサービスも実施しています。

同じくアメリカの企業ヒムズ&ハーズ・ヘルスでもHimsと呼ばれるブランドが立ちあげられ、男性特有の健康課題を解決するためのサービスを提供しています。
オンラインでの診察や薬の処方を受けられ、同社が手掛けた製品は一見コンプレックス商材だとは思えないような高いデザイン性が魅力です。
見た目から「治療をしていることがわからない」製品を提供しているため、利用しやすい点がメリットです。

インドにあるKindlyでも、精子を郵送し検査をしてくれるサービスや遠隔診療、サプリの配送提供などを実施し、性に関する悩みをサポートしてくれる会社があります。
精子の郵送検査はテストリリース後、4ヶ月という短期間で3,000個もの売り上げを達成したようなので、インドでもメンテックの需要が拡大していることがわかります。
また、薬用シャンプーや発毛剤の開発で知られる株式会社アンファーは、ウェルネスブランドとしてHOMTECHを立ち上げました。
妊活サプリメントや妊活プロテイン、性欲や勃起力に特化したドリンク剤などを「妊活を女性だけのものにしない」という合言葉のもとで開発しています。
株式会社SQUIZでも、EDやAGAといった男性特有の悩みをオンラインで相談し、診察・処方まで実施してくれるサービスのOopsを提供しています。

「おじテック」にも注目しよう


メンテックに関連する製品やサービスは徐々に増えつつあります。
そんな中、「おじさん」と「テクノロジー」を掛け合わせた「おじテック」 を呼称する企業も現れ始めています。
男性の中には尿漏れに悩む方もいます。
食生活による肥満やホルモンバランスの変化、加齢といった要因で尿トラブルは発生し、「追っかけ漏れ」と言われる排尿後、自分の医師とは関係なく尿が垂れてしまう症状で悩む男性も多いです。
老化による筋力の衰えや肥満が主な原因ですが、こうした悩みを持つ男性の多くは通常の下着を着用して過ごしています。

そんな中、クロスプラス株式会社が開発した製品が尿漏れ対策用のボクサーパンツです。
吸水生地や防水布を使用して作られたパンツで漏れをガードしてくれます。
名のファイン加工もされているため、不快なニオイも気になりません。
また、従来の尿漏れパンツとは違いデザイン性も高く、通常のパンツと同じような見た目をしているため、周囲に尿漏れパンツを着用していることもバレません。
この他にも、株式会社TOKIMEKU JAPANによるケアブランドのメロウ スタイルでは、尿漏れパンツの他に尿漏れパッドも提供しています。
20cc、80cc、200ccと吸水力の異なるパッドが用意され、自分に合う製品を購入できます。

フェムテックの男性版とも言えるメンテックは、男性特有の健康問題を解決するための製品やサービスを指します。
メンテックも、フェムテック同様に今後さらなる拡大が予想される分野です。
女性もメンテックに関する知識を習得すれば、パートナーや家族の悩みに寄り添えるかもしれません。
男女ともにある健康の悩みについて認知が進み、相談できる環境が広まる世の中が期待されています。

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