フェムテックが浸透しないのは性教育が関係している?

フェムテックは、女性特有の健康問題に対してテクノロジーを用いて解決するサービスや製品を示すものです。
近年、企業においてもフェムテックに積極的な所が増えてきました。

しかし、フェムテックを知るうえで浮かび上がってきた問題のひとつとして「性教育」が関係していることが明らかになっています。
フェムテックと性教育にどのような関係があるのか、またフェムテックを発展させるための方法などをご紹介していきます。

フェムテックが浸透しないのは性教育が関係している?

企業も積極的に取り組んでいるフェムテックは、今はアプリやサービスなどを通じて手軽で身近なものとなってきました。
特に女性のライフステージは、思春期から更年期までの間に起こり得る健康課題が変わっていき、内容によっては周囲からの理解を得なければ辛いこともあるでしょう。
しかし、このようなフェムテックを積極的に取り入れている会社があるものの、一部の男性は知っていても理解しきれていない面もあるようです。

フェムテックに関する質問やアンケートの結果から、男性が認知していない、理解したくてもしにくいなどの回答が多くあり、知識不足であることが明らかになっています。

そこで大きく関係しているのが「性教育」です。
昔から日本では性を学ぶ機会や伝統がないため、性教育をする先生を養成する課程もありません。
保健科、養護教員が少し学ぶ程度なので、教科書に書かれている基本的な男女の体の構造程度しか教えていないのが現状です。

一方のヨーロッパでは自然科学系教科で性教育をする国が多く、オランダでは理科や生物などで人間の生殖についても教えていることから、性への関心も避妊に関しても知る機会があります。
しかし、日本では性教育に関してのブレーキやタブー視されるかのような部分があり、恥ずかしさも相まって積極的な学習には結びついていません。

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日本の性教育の古さが変わらないのはなぜ?

先進国である日本ですが、他の国と比較すると性教育の内容の古さがそのまま伝わっていることがわかります。
性同一性障害や性的マイノリティなどを社会で認める動きになったのは2015年であり、これ以降学校などで自認する性別の服装、髪型などに対してきめ細かく対応することが決められました。

このような性を認める一方で、性教育に関しては「性行為」が関係してくる学習は進まないのも現状です。

他の国と同じように理科や生物で学ぶこともできますが、日本では道徳の授業で以前よりも性をテーマにした内容が含まれるようになりました。

男子学生

しかし、そこでも「性行為」となると、10代での妊娠は良くないなど抑制する内容が強く残り、結婚して子孫を残すための「性行為」ということまでタブー視されがちです。
明治時代は異性愛など多様な性を認めない、女性主体で行動しないという世間でしたが、戦後になって個人の尊重、男女平等の動きが浸透していきました。

現在になっても男性中心の社会性が残っており、それが性教育の発展に関係している可能性もあるでしょう。

性教育からフェムテックまで理解するには?

未だ、性教育の浸透の低さが課題になっていますが、異性の体に興味を持つことは不思議ではありません。
当たり前のことであり、そのきっかけこそが正しい知識を学ぶ機会にもなります。
しかし、性教育が発展しない日本では、個人で興味を持った時に気軽に学べる機会が必要です。
そこで、性教育からフェムテックまで理解するためにおすすめサービスやアイテムをご紹介します。

会話する女性

もっと話そう!Hello Femtech

ファッション雑誌などを手掛ける宝島社では、「もっと話そう!Hello Femtech」というプロジェクトをスタートさせています。

このプロジェクトでは女性特有の痛み、辛さ、我慢が当たり前ではなく、技術と周囲の認知度によって正しい知識を身につけるための講演などを行っています。
高校や大学などで実施することもあり、「性」に関するタブー視をなくし、オープンにする内容を中心に紹介しています。

2023年9月に行われた講演では、神奈川県横浜市の聖光学院高等学校の生徒に「性感染症広がるゲーム」を実施しました。
これは、性感染症の広がり方、コンドームの重要性を言葉ではなく、実際にコップに水を移していく方法でわかりやすく説明しています。
参加した生徒からは、「男女が知識を持つことの大切さ」「男性として避妊がマナーだと知った」「性感染症の恐ろしさを知った」「性行為、避妊方法、生理についての理解が深まった」という意見が出ました。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001894.000005069.html

性教育ツール「性とからだとこころを知るカード」

株式会社フェリシモでは、未就学児から思春期までに知っておきたいからだ、性、こころに関しての変化をカードにまとめた商品を販売しています。
制作したきっかけは、「性の知識を子供に伝える方法がわからない」という声が多かったからです。

このカードを使うことで、子どもが疑問や興味を持ったタイミングで渡して知るきっかけにできるだけでなく、家庭で性の話ができるという親子関係構築も目的にしています。
カードの監修は婦人科医、性科学者である宋美玄さんです。

性の知識はタブーではなく、幸せな人生を歩むために必要なライフスキルであるとしているため、学校では教えてくれない正しい知識を早くから知っておくために使いやすいアイテムでしょう。

参考:https://www.felissimo.co.jp/22for22/gokigenlab/gokigencard01/gokigencard01_gk.html

会話する男女学生

生教育プロジェクト

「生教育プロジェクト」は、朝日小学生新聞、あすか製薬、電通の共同実施のプロジェクトです。
子どもが正しい性教育の知識を持たないまま性被害に遭うケースが増加していることをきっかけに立ち上げました。
小学4年生から性教育が始まってきますが、その中心となるのが思春期の体のみです。

指導要領の範囲外になるため、教えられないことも多くありますが「性を学ぶことは、生きるを学ぶこと」をテーマに朝日小学生新聞へ広告を掲載し、各テーマに沿った学びができます。
参考:https://www.asahi.com/asagakuplus/asasho/%E7%94%9F%E6%95%99%E8%82%B2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88/

女子高生向けサイト「Mint+teens」

「Mint+teens」は、女子高生の年代を対象に女性の体や健康に関する情報を掲載しています。
その中の取り組みとして、毎年17万部の保健体育の副教材を全国の高校へ無償で届けています。

この教材は、男女の高校生が生理、避妊などを正しく学ぶための性教育関連資材です。
思春期の体の変化、婦人科に行くタイミング、結婚、出産など性への意識や行動などについても書かれています。
「Mint+teens」からでも内容が確認できるので、改めて学びたい方は読んでみましょう。

参考:
https://www.aska-pharma.co.jp/mint/teens/
https://www.aska-pharma.co.jp/mint/library/pdf/askapharme_library2304.pdf

はじめの生理BOX

フェムテックジャパン2022/フェムケアジャパン2022で、銅賞を受賞したのが「はじめの生理BOX」です。
初めて生理が来た時、「とうとう来たか」「痛いのが辛そう」などマイナスな印象になりがちです。
また、生理であることを周囲に知られたくないことから隠したい気持ちになる女性もいます。

しかし、「はじめての生理BOX」は、このような気分にならないように「楽しそう」という感覚であって欲しいという想いから誕生しました。

商品を開発した三上麗さんは、高校時代に性に関して嫌な経験をしたことがあり、性教育をポジティブにしてと言われ、難しかったそうです。
しかし、性をフラットにするための方法を考えた時に、わくわくして興味を持ちやすいように意識されています。

参考:https://college.femtech-japan.com/features/2022-interview04/
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ここまでフェムテックと性教育の関係性についてご紹介してきました。
フェムテックを知る前に、日本の教育では性教育がタブー視されがちなこと、学校で学ぶ機会がないまま大人になっていることが新たな問題として浮かび上がってきました。
しかし、教育で足りない部分は性教育やフェムテックアイテムを活用することで、興味を持った時に学べる環境になります。

正しい性教育を理解しなければ、フェムテックに対する理解も深まりません。
この機会に、性教育に関しての取り組みにも注目してみましょう。

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