「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」とはなんだろう?

近年注目度が高まっている「フェムテック」を導入する企業が増えています。
しかし、フェムテックに関する取り組みを行うには、コストもかかってしまうので頓挫してしまう可能性もないとは言い切れません。
そこで活用できるのが、フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金です。
この補助金は、経済産業省が主導になって行っているものです。
今回は、そんなフェムテック等サポートサービス実証事業費補助金がどのような制度なのかご紹介します。
実際の事例についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金について


まずは、フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金がどのような制度なのかみていきましょう。

この補助金は、フェムテックなどの製品やサービスを活用し、フェムテック企業・導入企業・医療機関・自治体などが連携しながら働いている女性が生き生きと生活できる環境づくりをサポートするものです。
フェムテック関連事業にかかった経費の一部を補助するという内容です。
補助事業を行うことによって、働いている女性が妊娠や出産といったライフイベントと仕事を両立したり、ヘルスリテラシーを向上させたりすることを実現できる社会を目指しています。
フェムテックを導入することで企業は人材の多様性を高めたり、中長期的な企業価値の向上を目指したりできます。
補助を実施する事業は、令和5年の取り組みで18件程度です。

それぞれの事業に対して事業費の2/3以内(上限は500万円)を補助するという内容になっています。

この事業はフェムテックに関する取り組みであればどの企業でも応募できるというわけではありません。
アロマやサプリメント、吸水ショーツ、エステ、温活グッズなどのフェムケア製品の利活用を推進する事業は対象外となっています。
令和5年度の公募期間は4月17日~6月7日でした。
来年度も公募が行われる可能性があるため、フェムテックの導入を検討している企業はチェックしておきましょう。

フェムテック事業の重要性

フェムテック事業は、これからの時代においても重要な役割を担うと考えられています。
続いては、なぜフェムテック事業がより重要視されるのかといった点について解説していきます。

女性が自分自身の健康課題に向き合える


フェムテックに関する取り組みを行うことで、女性自身が健康課題に向き合えるようになります。
女性が抱えている健康課題について、正しい情報や知識を持つ人は意外と少ないのが現状です。
当事者である女性だけではなく、周囲もきちんと理解する必要があります。
そうでないと適切なサポートにつながりません。
フェムテック等サポートサービス実証事業では、女性が健康課題に向き合うことが当たり前になる社会を目指しています。

自治体や企業との連携も必要


女性の健康課題を解決へと導くためには、フェムテック企業が製品やサービスを提供するだけでは足りません。
その他の企業や自治体が協力し、ライフステージや生活に寄り添ったサポートを行うことが重要になります。
寄り添ったサポートを実現できれば、女性が抱えている悩みの解消や軽減につながると考えられます。
そのためにフェムテック等サポートサービス実証事業で、フェムテック企業と一般企業・自治体の連携を生み出すきっかけを創出し、支援しています。

女性の働き方を考えるきっかけにも


女性は男性よりも大きな変化に直面します。
女性が直面するライフイベントや心身の健康に関する課題は、女性だけの問題ではありません。
周りも健康課題を理解し、気遣う必要があります。
気遣う気持ちがあれば、職場のマネジメントの改善につながり、パートナーとの関係も良好な状態を保ちやすくなります。
多様な働き方を認めることにもつながり、誰もが働きやすい社会へと変化していくでしょう。
そのための手段の1つがフェムテックです。
フェムテックを手段とし、働いている人がみんな生き生きと能力を発揮できるような状態を目指すことも、フェムテック等サポートサービス実証事業が目指している姿です。

女性が社会進出するようになり、新たな課題も生まれています。
そのような課題を解決へと導くためには、フェムテックに関する知識が必要です。
この課題解決を実現するために活用できるのが、フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金になります。

【令和4年版】フェムテック等サポートサービス実証事業の事例

フェムテック等サポートサービス実証事業は、これまでに多くの企業が取り組んできました。
最後にフェムテック等サポートサービス実証事業費補助金を使った事例をピックアップしてご紹介します。
なお、ここでご紹介しているのは令和4年度の事例です。

個別化や最適化された不妊治療を提案するAIサービス


日本国内における体外受精の件数は、1年間で約45万件になります。

新生児の中で14人に1人は体外受精で誕生しており、その数は約6万人です。

不妊治療は一般的になりつつありますが、仕事との両立が難しく離職してしまうケースが珍しくないという現状もあります。
不妊治療は治療の流れが明確にしにくく、指定された日に急遽受診しなければいけないといったパターンが多いため、仕事を休まなければいけない日も多くなってしまうのです。
終わりが見えない治療でもあるので、長期化しやすいのも特徴です。
そのため、不妊治療を受けている人は大きなストレスを抱えることになります。
そこで個別化や最適化された不妊治療を提案するAIサービスを活用すると、治療の全体像や効果を見渡しやすくなります。
なぜかというと、不妊治療専門クリニックの治療データを匿名化・暗号化させ、適切な治療法を判断するAIを開発するためです。
不妊治療を受ける期間の短縮化などに貢献できるサービスだと言えます。

生理用品を設置し、快適に過ごせる環境を考えるプログラム


女性の体はとてもセンシティブで、月経の周期を基礎体温などで把握できたとしても確実に予測できるわけではありません。
海外では生理用品の設置設備が一般化されていますが、日本では普及していないのが現状です。
このプログラムでは、生理用品ディスペンサーの設置に関わる実証実験や実証実験に関する事前事後アンケートの実施・分析などを行います。
生理用品の設置をきっかけとし、言いづらいことを言えるような社会作りをすることが大きな目的です。

この他にも、女性の健康課題に関するオンラインコミュニティの運営や就労妊婦などのサポートサービス、不眠に悩む女性の現状を改善するためのサポートサービス、不妊治療中の心理ケアに関する取り組みといったものがフェムテック等サポートサービス実証事業費補助金によって行われています。

今回は、フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金制度の概要や事例についてご紹介してきました。
女性が抱えている問題はセンシティブなものも多く、これまで表に出てくることはほとんどありませんでした。
しかし、女性の社会進出が進んだこと、不妊治療が保険適用になったことなどを受け、徐々に明るみに出るようになってきたのです。
しかしそれらを解決するのは簡単ではありません。
簡単に解決できる問題ではないので、フェムテック企業などが立ち上がり、経済産業省はフェムテック等サポートサービス実証事業費補助金制度を整えたのだと考えられます。
今後は補助金の活用で、さらにフェムテックに関する取り組みが行われるようになるでしょう。

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