「Female」と「Technology」を組み合わせてできたフェムテックは、女性が抱えている健康課題をテクノロジーで解決していくサービスや製品のことです。
今まで「生理痛は痛くて当たり前」「生理でも仕事するのが当たり前」、「更年期でも気合いがあれば大丈夫」など、根拠のない見解や意見が世間に浸透していました。
しかし、今では女性特有の悩みや課題には個人差があり、これらを解決して健康な日々となるように考えて解決できるツールとしてフェムテックが浸透していき、国としてもこれらの取り組みに関する補助金制度を設けています。
そこで、この記事ではフェムテックの補助金制度について詳しく解説していきます。
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経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」とは
経済産業省では、フェムテック企業や導入企業、医療機関や自治体などの連携体などに「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を募集していました。
これはフェムテックなどの関連製品やサービスを活用して、フェムテック企業、導入企業、医療機関、自治体などが連携し、働く女性が能力を最大限に発揮して活躍できることを目的としています。
働く女性の中には結婚、妊娠・出産、更年期などのライフイベントに起因する離職が多くなっています。
今までは、「女性は結婚したら専業主婦になる」「子育ては女性がするもの」などの概念が強く、社会的に活躍している女性にとって究極の選択を迫られたケースも少なくありません。
社会的な男女差別を起こさないためにも、女性本人のみならず社会や企業が積極的にフェムテックに取り組み、全体で解決していくためのアプローチが必要です。
フェムテック導入や検討している機関が個別、もしくは連携して取り組むことで、妊娠・出産などのライフイベントと仕事の両立が可能になったり、女性特有の健康課題の解決ができたりします。
また、これにより働きやすい社会環境になることも目的となっています。
補助金制度により、フェムテック関連のサポートサービスの普及に関する課題解決促進、企業の人材の多様性、中小企業の価値向上などが期待できるでしょう。
フェムテック事業で期待できることは?
国としても積極的になってきたフェムテックですが、この事業からどのようなことが期待できるのでしょうか?
女性の健康課題に気が付いて知るきっかけにできる
女性は健康課題の当事者であるものの、正しい知識や情報を得ていない場合もあります。
また、自分自身で「女性ならこれが当たり前」という認識を持っているかもしれませんが、決して当たり前ではありません。
女性と周囲の環境や人々が、女性の健康を正しく理解して関心を持つことで、必要なサポートをすることができます。
また、自分自身が正しく理解することでサポートを利用することもできるのです。
積極的に自分自身の健康課題に向き合って解決していくことで、新しい「当たり前」も誕生していきます。
国の補助金制度には、このような新しい当たり前に向けて様々な方法に取り組む事業を応援しているため、制度をきっかけにフェムテックの認知度アップや浸透が期待できるでしょう。
企業や自治体で課題に取り組める
女性の健康課題へ向き合い、解決していくためには、フェムテック製品、サービスなどの提供だけでは限界があるでしょう。
製品やサービスがあったとしても、それを周知してもらい、利用して軽減や解消という答えが出せない限り、課題は解決しません。
課題を解決するには、企業や自治体が協力してライフステージ、生活環境に適したサポートを提案する取り組みが重要です。
これらに適したサポートが増えれば、多くの女性の悩みが解消、軽減できるでしょう。
さらに、企業や自治体の連携により、新たなサービスができるきっかけも生まれます。
女性の健康課題を知ることで働き方について考える機会になる
女性の目の前に立つライフイベント、健康課題は特有のものであり、他人には関係ないと思われているかもしれません。
周囲が健康課題について正しく理解し、相手を思いやって気遣うことで職場全体のマネジメント改善も期待できます。
お互いを配慮する気持ちひとつで、多様な生き方を考えるきっかけとなり、相手との関係性も向上して満足度も高まります。
フェムテックを手段として、全ての人が働きやすく生き生きできる能力を発揮できることを目指していきます。
実証事業例をご紹介
令和3年度から始まった「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」ですが、今までにどのような実証事業例があったのでしょうか?
ここでは、実証事業例についてご紹介します。
メロディ・インターナショナル株式会社
メロディ・インターナショナル株式会社は、補助金制度で周産期遠隔医療プラットフォームについて取り組みました。
これは、今問題になっている地域格差のある周産期医療についての問題です。
取り組むべき課題は、女性のライフステージの最初の方に考えるのが妊娠・出産であること、妊婦健診での休暇取得が困難なこと、産科医療施設が少ないこと、女性の社会進出によって高齢出産が増加していること、妊娠後今のキャリアを諦める風潮であることなどが挙げられました。
そこで、メロディ・インターナショナル株式会社は周産期遠隔医療プラットフォーム「Melodyi」とモバイル胎児心拍陣痛モニターとなる「分娩監視装置ICTG」を使って出張妊婦健診、在宅妊婦健診の提供に取り組みました。
これらにより働く妊婦の住んでいる地域による不利益の解消、高齢出産リスク、子育てに関する負担軽減に加えて、女性の妊娠・出産の両立が可能な社会を目指せます。
>>参考→https://melody.international/
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
株式会社ポーラ・オルビスホールディングスは、次世代EMSによって気軽にメンタルヘルス・パフォーマンス向上に取り組みました。
PMS、更年期、不安障害などに加えて、女性活躍推進に伴った仕事の責任や負荷などの要因で、働く女性のメンタルヘルスの危機が不安視されています。
メンタルヘルス低下により、女性の労働損失などが注視されていますが、運動によって高い予防効果が明らかになっているのです。
しかし、働き盛りの世代では忙しく、面倒だという理由で運動ができていないのが現状です。
そこで、気軽に効果的な運動によってメンタルヘルス改善効果が期待できるデバイス「次世代EMS」を提供しました。
この事業では、メンタルヘルスに対する課題を抱える女性に利用してもらうことで、ストレス、イライラ、不安などの不調を改善し、パフォーマンス向上が期待できます。
時間がない女性でも気軽に継続しやすい部分が期待され、自己統制サポートなどが可能となり、自己肯定感を高めることを目指します。
参考→https://www.femtech-projects.jp/project/38.html
株式会社Famileaf
株式会社Famileafは、妊娠中にケアが必要な妊婦の割合が多いことから、対象管理の必要性に着目し、生活を支援する体調管理アプリの提供をしました。
妊婦健診では早期発見が難しい体調不良もありますが、妊婦自身が判断する難しさがありました。
また、働く妊婦も多く、安定に入るまで職場に報告しないことも多くあり、つわりが過酷な状態であることを周囲が察知する困難もあります。
そこで、妊婦やパートナーに対して妊娠期の体調管理、ケアなどの情報を発信し、体調管理ツールでヘルスリテラシー向上を目指します。
働く妊婦は、勤務先で実施しているサポートを知らせることで、支援体制が用意され、働きやすさ向上を目標としています。
参考→https://www.femtech-projects.jp/project/47.html
経済産業省では、フェムテックに対しての取り組みによって補助金制度を設けています。
補助金制度は、選ばれた企業だけが受けられるものであり、積極的な理解やサービスの提供により、より身近な存在になっていくでしょう。
ここでは紹介しきれなかったフェムテックの導入事例もあるので、気になる方は経済産業省のサイトから確認してみてください。
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