近年、女性の健康課題に対してテクノロジーの力で解決していくフェムテックが注目されています。
国からの補助金制度も設けられているため、今後社会に浸透していくだけでなく、今後盛り上がっていくことも期待されています。
フェムテックの浸透によってウェルビーイングの概念が定着していけば、今後の日本や世界は大きく発展するでしょう。
しかし、フェムテックもウェルビーイングもまだ発展途上の状態であり、意識していても定着していない面も少なくありません。
そこで、この記事ではウェルビーイングがどのようなものかに加えて、フェムテックやウェルビーイングの必要性についてご紹介します。
Femtech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(技術)を合わせて誕生した造語の1つです。 女性の悩み事の中には女性特有の問題も多く、なかなかオープンにできないことも少なくありません。 そんな課題を解決する[…]
ウェルビーイングとは?
近年、フェムテックという言葉も登場してきましたが、さらに「ウェルビーイング」という言葉を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか?
ウェルビーイング(well-being)は、1946年に世界保健機構(WHO)設立時に誕生した言葉で、健康、幸福、福祉などに直訳されます。
これは肉体的、精神的、社会的に満たされた状態にあることを意味していますが、健康という意味で使われる「Health」とは異なります。
なぜウェルビーイングが注目されたのか
なぜ、ウェルビーイングが注目されてきたのでしょうか?
ここでは、ウェルビーイングが注目された要因などについて解説します。
価値観が変わってきた
今までの価値観は、「モノによる豊かさ」という概念が大きくありました。
モノが充実していることは豊かなことであるという考えが主流でしたが、近年は「モノによる豊かさ」から「心の豊かさ」に変わっていきました。
この豊かさへの価値観が変わっていった結果、よりよい社会環境作りへの意識が高まりつつあります。
今まで世界中で、効率や利益、売上などの経済指標を第一に考えていました。
しかし、経済格差拡大、地球環境悪化、各地域での貧困などの問題が起こり、このままでは成長できないだけでなく、限界状態であると認識されたのです。
これらの点を踏まえて地球規模での調和、よりよい社会を目指すための方法を考えるようになりました。
働き方の見直しが進んできた
日本は高度成長期で大きな発展を遂げてきましたが、現在は少子高齢化が加速した社会に変わりました。
社会が変わってきた一方で、人々の働き方に関しては古いなごりがあり、長時間労働、サービス残業など、労働者に対して無理を強いている会社もあったのです。
働き方や社内環境が劣悪な職場はブラック企業と呼ばれ、何度も社会問題に発展したため、記憶に残っている方もいるでしょう。
これらの問題から政府は新たな働き方改革を行い、2019年に働き方改革関連法を施行したのです。
その結果、雇用形態に関係ない公正な待遇、女性の就労促進など、自分に合った働き方が選択しやすくなりました。
健康経営の高まり
健康経営とは、1年を通じて従業員が心身のコンディションを整えながら最高のパフォーマンスができるように健康行動に取り組んでいく取り組みです。
従業員の健康も経営的な視点で捉え、理念に基づいた健康管理を行うだけでなく、これによって企業価値向上などの好循環を作っていくこととしています。
大阪万博のテーマにも
2025日本万国博覧会の基本構想案では、大阪万博の趣旨にウェルビーイングを含めています。
世界中の人々がよりよく生きられるようにという希望が込められているため、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」となっています。
フェムテックやウェルビーイングが浸透しない理由
フェムテックも、ウェルビーイングを向上するために欠かせない内容であるのは間違いありません。
しかし、社会や企業、女性によってはフェムテックへの知識不足などからウェルビーイングには含まれないと考えるケースもあります。
なぜ、フェムテックはウェルビーイングに含まれないと考えられるのでしょうか?
生理に関する不調を当たり前に思っているから
女性は、一生のうちに分泌するホルモンの量がティースプーン1杯程度であることを知っていますか?
わずかなホルモンの量だと考えるかもしれませんが、女性は一生を通じてホルモンの影響を受けやすくなっているのです。
女性は初潮を迎えると、それ以降は毎月生理がきます。
しかし、月経過多な人もいれば、妊娠する人、不妊治療が必要な人、月経前症候群や更年期障害に悩まされる人などがいて、そこにはホルモンが大きく関係しています。
これらの症状は、ホルモンの影響を受けているため、生理がある以上常に影響があるのです。
生理について知る機会がないと、生理痛がひどくて起きられないのに誰もが同じだと思って我慢したり、仕方がないと諦めてしまったりするのです。
しかし、きちんと治療すれば改善できる症状でもあります。
それでも、多くの女性が生理痛は当たり前だと思っているため、ウェルビーイングには含まれないと感じている可能性があります。
薬はよくないという考えが浸透しているから
働く女性にとって、生理は心身の健康維持に欠かせませんし、重要な問題だという認識も必要です。
生理は、妊娠のために備えていた子宮内膜がはがれて出血するため、女性の体が生理のたびに大きな負担がかかっているのです。
低用量ピルは、月経過多や月経前症候群を安定させた子宮に負担をかけずに迎えるための薬であり、一定量の服用で毎月の辛い生理症状を軽減できます。
しかし、未だにピルなどの薬に頼るのは良くない、婦人科の受診が恥ずかしいという考えが定着しているのも事実です。
フェムテックの発展でウェルビーイングの意識が高まる
女性にとって当たり前の生理ですが、痛くても仕方ない、辛くても頑張らなくてはならないという意識が高いことで、ウェルビーイングには関係ないと考えがちです。
しかし、現在は社会進出している女性が多く、今後も活躍していくにはフェムテックの背景にあるウェルビーイングという概念を意識しなければなりません。
2019年に経済産業省が発表した内容には、女性の生理に関する経済損失が約5000億円という内容が含まれていて、女性のケアが十分できない以上損失が減少しないことがわかります。
そのためには、女性自身が自分の体について見直すこと、フェムテックを充実させること、企業が積極的にフェムテックに取り組むことなどが必要です。
皆さんは「フェムテック」という言葉をご存知でしょうか? フェムテックとは、女性特有の悩みや問題をテクノロジーの力で解消することです。 まだ言葉と意味が浸透しきれていない部分もありますが、市場規模は年々増加傾向であり、様々な分野から注目さ[…]
フェムテックは、女性自身が積極的に取り入れることも重要ですが、社会や企業での取り組みも浸透させるためには欠かせません。
また、男性がフェムテックについて学ぶ機会を設ける必要もあるでしょう。
フェムテックが発展することで、ウェルビーイングの高い社会創生も可能なので、この機会にフェムテックやウェルビーイングについて見直してみてください。