フェムテックの市場規模と経済効果

フェムテック市場は、まだできたばかりの市場です。
しかしながら、その市場規模は年々拡大しており、今後も経済効果が増加していくと考えられています。
女性の健康や生活と向き合うために欠かせないフェムテックとは、どのようなものなのでしょうか?
この記事では、フェムテックの市場規模と経済効果などについて詳しく解説していきます。

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フェムテックとは?

フェムテック(Femtech)とは、Female(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせてできた造語です。
生理・妊娠・セクシャルヘルスなどの女性の健康問題を解決するためのサービスや製品のことを指します。
女性特有の体や心の悩みを扱っています。

生理

生理

生理周期を記録・管理するアプリにより、次の生理日を予測できるサービスです。
メモ機能が搭載されているアプリでは、PMSの症状やセックスの有無などを記録できるものもあります。
ここ最近では、吸水ショーツや月経カップ、オーガニックナプキン、デリケートゾーン専用ソープなども販売されています。

妊娠・不妊・産後

授乳

妊娠中の体調を管理できるアプリや授乳を支援してくれるアプリ、産後のメンタルをサポートしてくれるアプリなどがリリースされています。
また、妊活している人や不妊の方向けの検査キットや排卵日を予測するアプリ、カウンセリングサービスなどもあります。

更年期

更年期

年齢を重ねるにつれ、女性ホルモンの分泌量は減少します。
更年期障害で悩む方向けに、更年期障害を軽減できる情報の提供や体のほてりに配慮した衣類の紹介など、様々なサービスが提供されています。

フェムテック市場規模と経済効果

フェムテックという言葉は2020年にデンマークで生まれました。
2021年には、「2021年ユーキャン新語・流行語大賞」に「フェムテック」という言葉がノミネートされました。
まだ誕生してから3年ほどしか経っていないフェムテック市場ですが、世界では既にフェムテック市場が大注目となっています。
日々進化を遂げているフェムテック市場の規模は、2022年に300億ドルを超えています。

上昇

2020年時点での日本でのフェムテックの認知度は、わずか1.5%しかありませんでした。
株式会社矢野経済研究所の発表では、低い認知度だった2020年時点での日本のフェムケア&フェムテック市場規模の経済効果が597億もあったということが発表されました。
2022年には、フェムテックの認知度は5.7%に上昇しています。
まだまだ低い認知度ですが、フェムテックに対する期待値・関心は57.3%と、高水準な結果になったそうです。
なぜなら、生理・妊娠・更年期などによる働きづらさを感じたり困ったことがある女性は全体の約40%もいるからです。
生理痛や経血量の多さ、つわりや不妊治療、精神的・肉体的なつらさなど様々な悩みを抱えている人が多くいます。

経済産業省の調べでは、女性の生理やPMSなどによる労働の損失は年間なんと4,900億円になると発表されました。

女性が少しでも働きやすくなることで、労働の損失を抑えることができます。
そんな悩みを解決してくれるのがフェムテックです。
そのため、フェムテック市場は社会からも女性からも注目されているのです。

参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000051296.html
SOMPOひまわり生命 健康応援リサーチ「日本のFemtech(フェムテック)市場の可能性に関する調査」第3回より

経済産業省の「働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査 報告書」の調査では、2025年までに日本でのフェムテックによる2兆円の経済効果が見込まれています。
また、米調査会社CB Insightsは2025年までに、世界でのフェムテックによる経済効果は5.5兆円になると予想しています。

ここまでフェムテック市場が急成長しているのには、女性の社会進出やテクノロジーの進化など、様々な要因があると考えることができるでしょう。

生理アイテムの売上が急上昇している

給水ショーツ

フェムテック・フェムケア市場では、2019年~2020年にかけて吸水ショーツの販売が加速化しました。
従来のサニタリーショーツは、ショーツの上にナプキンを付けて着用するものです。

吸水ショーツは、従来のサニタリーショーツよりも吸水性と防水性が高く、ナプキンを付ける必要がありません。
ナプキンを着用した時の漏れの心配やごわつきなどがなく、吸水ショーツを履くだけで快適に過ごせるのが特徴です。
また、使い捨てのナプキンと違って洗えば何度も使用できることから経済的な観点からも注目されています。

2021年には月経カップが販売され、フェムテック市場が更に拡大されました。
2019年~2021年のフェムテック市場では、30代・40代の女性に支持されていました。
現在はSNSの影響もあり、少しずつ10代・20代にも支持されるようになり、様々な年齢層にフェムテック・フェムケアが注目されています。
最近では、肌にやさしく不快な匂いを軽減してくれるデリケートゾーン専用のソープも人気です。

月経前症候群(PMS)にもフェムテックが期待されている

月経前症候群(PMS)

月経前症候群と呼ばれるPMSによる悩みを抱える女性も、近年増えてきています。
生理が始まる3日~13日ほど前になるとPMSによる体の様々な不調が現れるのです。
人によって現れる症状は異なり、頭痛や腹痛、精神的不調などが起こる人もいます。
こうしたPMSによる悩みにもフェムテックが期待されています。
2020年頃から、PMSによる悩みを解決・緩和するための商品やサービスが開発・販売されてきました。
骨盤底筋群のトレーニング機器や生理の周期を管理できるアプリなど、様々な商品・サービスがあります。
こうした機器やアプリを活用することで、PMSによる悩みを解決しやすくなるとされています。

フェムテックは起業したい人や資産運用したい人からも注目されている

資産運用

フェムテックは、女性だけでなく「起業を考えている人」や「資産運用をしたい人」などからも注目されています。
なぜなら、フェムテック市場は現在急成長しており、今後も成長していくことが期待されているからです。
女性ならではの視点を生かしてフェムテック・フェムケアビジネスを始めた女性も増えています。
更年期障害で悩む女性向けのホルモンの変化を助けてくれるサプリを開発している人や低用量ピルやオーガニックナプキンの販売に取り組んでいる人など、様々です。

オンラインで気軽に相談できる「産婦人科オンライン」を運営している産婦人科医もいます。
夜間対応もしており、妊娠・出産・月経・性感染症といった様々な悩みを相談することができるサービスです。
1ヶ月に数千件以上の利用者がおり、24時間365日オンラインで相談ができると好評です。

経済産業省では、「フェムテックを活用した働く女性の就業継続支援」として、「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を支給しています。

経済産業省ホームページ:https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/femtech/femtech.html

補助金を受け取れるだけでなく、企業の紹介もしてくれます。
要件を満たせば補助金を活用することができるため、補助金を活用して企業を考えている人も多いです。

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フェムテックは、2020年にデンマークで生まれたばかりの言葉です。
フェムテックはまだ新しい市場ですが、2022年時点で
日本での経済効果が597億もありました。
2025年までに世界での経済効果は5.5兆円になると見込まれており、今後もフェムテック市場は注目されるでしょう。
女性が生活・社会で活躍しやすい未来を実現するためにフェムテックは欠かせない存在なのです。

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