フェムテックに関する補助金の内容について

フェムテックは、女性特有の健康に対する課題をテクノロジーなどの技術で解決するためのサービスを表す言葉です。
女性に関連するため、男性には関係ないと考える方もいるかも知れませんが、世間や企業が積極的に取り入れることで、良好な環境作りなどにもつながっていきます。

そんなフェムテックが浸透しやすいように、日本では補助金制度を設けていることをご存知でしょうか?
この記事では、フェムテックに関する補助金の内容についてご紹介していきます。

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市場規模

女性特有の健康課題とは?

フェムテック解消のきっかけとなる「女性特有の健康課題」とはどのようなものなのでしょうか?
女性には、年代に合わせていくつかのライフステージに分かれています。

女性のライフステージ

さまざまな年代の女性

・思春期…月経、婦人科疾患、セクシャルウェルネス
・成熟期…月経、妊娠、不妊、産後ケア、婦人科疾患、セクシャルウェルネス
・更年期…更年期、婦人科疾患、セクシャルウェルネス

このように、女性はそれぞれのライフステージによって、抱える悩みが異なってきます。
そして、女性特有の健康課題となる具体的な例は以下の通りです。

女性特有の健康課題となる内容

・月経…生理痛の痛み、重さ、PMSによる精神的不安定など
・妊娠…つわり、むくみ、体調不良、体の変化による気分の浮き沈みなど
・産後ケア…性ホルモンの減少による気分の落ち込み、イライラ、精神不安定、動機、体のほてり、つらさなど
・不妊…不妊治療と仕事の両立の難しさ、周囲の理解不足、タイミングがわからないなど
・婦人科系疾患…子宮頸がん、乳がん、子宮内膜症、子宮系への治療不安など
・セクシャルウェルネス…性について満たされたい状態など

セクシャルウェルネスは、性の健康を意味する言葉ですが身体的な健康だけではありません。
女性が性に関しての話題を出すのはあまりよく思われない風潮ですが、生理中の心や体の状態、セックスに関する内容を発信することで共感を得られたり、男性に対しての理解を深めたり できます。
異性からの意見を聞くことで様々な考え方や経験、解決方法などを知るきっかけ、性的指向の尊重や自分の体に耳を傾けるきっかけにもなるでしょう。

このような内容が女性特有の健康課題であり、積極的な取り組みがフェムテック解消への一歩となります。

フェムテックに関する補助金があるって本当?

補助金のイメージ

フェムテックは、女性特有の健康課題を解消するためのものですが、国でもフェムテックを活用して働く女性の就業支援に継続的に取り組んでいます。
ここでは、国が設けているフェムテック推進のための補助金制度についてご紹介します。

フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金

補助金の概要

フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金は、経済産業省が設けている補助金制度です。
フェムテックなどのサービスや製品などを活用し、働く女性が最大限の力を発揮できることを目的としています。

経済産業省では、対象者を日本拠点にしていて、この事業を遂行するための組織や人員などを有していること、円滑に遂行するための経営基盤があること、資金などの十分な管理能力があることなどを条件にしています。

これは、ただ補助金を申し込むと受けられるものではなく、定期的な報告会を設けて、事業概要や進捗状況を発表しています。
各企業が補助金を受けてどんなことができるか、どんな実証実験で結果が得られたのかを発表することで、より良いフェムテックの発展に繋げることができます。
令和6年度のフェムテック等サポートサービス実証事業費補助金についてはまだ発表されていませんが、ここまで一定の成果があったことから、今後も補助金制度を続けていくことが予想されます。

補助金対象事業

補助金の対象となる事業は、フェムテック製品やサービスを用いてウェルビーイングの実現に向けた取り組みであることです。
該当するのは、女性の健康に関する理解促進やライフイベントに関連する不安や相談、不妊治療や更年期障害などと仕事の両立に関してのサポートなど です。
対象となるのは、フェムテック企業以外にも導入企業、医療機関、自治体などの連携体、構成する事業者となっています。

令和3年には20件、令和4年には19件の事業が採択された実績があり、事業費の2/3以内(500万円)が補助対象です。

令和5年度に採択された企業と内容について

補助金のイメージ

ここでは、令和5年度に度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」において補助事業者となった企業とその採択内容を一部ご紹介します。

株式会社きゅあも

株式会社きゅあもは、夫婦やパートナーなどの関係強化やコミュニケーション、情緒的物理的サポートスキルトレーニングサービス「ぺあも」による、女性のウェルビーイング・パフォーマンス向上の実証事業者です。

ホルモンバランスの変化が大きい月経、PMS、更年期などに女性が身近にいる男性やパートナーなどとの関係不和にならないためにお互いの関係を強くするとともに、スキルトレーニングを加えることで症状の緩和や産後うつなどの予防に取り組む内容となっています。

「ぺあも」を通じて、ゲーム感覚でスキルを習得しつつ、LINEで通話面談をするなどの結果から2人に合ったプログラムが開始されます。
完了時に2人の取り扱い説明書が完成し、これを基に情緒的スキルサポートを向上させるのが目的です。

参考:https://www.femtech-projects.jp/assets/pdf/project_report_43.pdf

株式会社ポーラ

株式会社ポーラでは、「mamaniere」アプリを通じてAPEX(アペックス)で実施してきた肌分析技術を応用し、顔写真から心とからだの状況を分析します。
分析結果から、産後特有の悩み解消が期待できるケア情報、赤ちゃんの月齢に合わせた育児情報の提案などを行い、豊かな産後の生活を目指します。

「mamaniere」アプリでは、研究所独自の顔分析技術を用いた心とからだの状態分析に加えて、限定クーポンの配布などもあり、活用することで自分のケアに加えて自分らしい時間を過ごせることが目的です。
参考:https://www.pola.co.jp/about/news/e0bv2n000000a978-att/po20230801_2.pdf

パラマウントベッド株式会社

パラマウントベッド株式会社では、株式会社陽と人を協業し、働く更年期女性の不調改善、職場においての男性からのサポート体制構築についての実証事業に取り組んでいます。

更年期を抱えながら働く女性は多いものの、自身でも適切な改善策が見つけられないまま悩んでいる方が一定数いると考えています。
これに加えて、閉経関連泌尿生殖器症候群の認知が乏しいことに苦しむ女性の多さが想定できると考え、医療や介護を中心としたヘルスケア領域でこれらの課題と向き合っていくことが目的です。

実証事業では、更年期症状、閉経関連泌尿生殖器症候群の症状を抱える女性を対象とした悩みの調査、睡眠時の状態、分析を行い、データを収集、研究部門となるパラマウントベッド睡眠研究所の知見集約、分析から改善プログラムの作成が可能です。
睡眠の質改善による、仕事のパフォーマンス向上に加えて、男性をはじめとする周囲の意識や行動の変容について実証しています。

参考:https://www.paramount.co.jp/femtech
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フェムテックに関する補助金は、経済産業省から一定の条件を満たすことで受けられます。
この補助金を活用した企業は、フェムテック事業に積極的に取り組み、様々な視点から課題解消や改善に向けたサービスを提供していることがわかりました。
国としては、まだ取り組み始めたばかりの事業ですが、今後も国と企業の姿勢により、発展が期待される分野となるでしょう。

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